高安和夫(NPO銀座ミツバチプロジェクト理事長)
【プロフィール】

1965年、千葉県の養豚農家の長男として生まれる。国学院大学法学部法律学科卒業後、ナショナル住宅千葉パナホーム株式会社を経て、1999年農業生産法人 ㈲アグリクリエイトへ入社。2003年取締役東京支社長就任。現在に至る。2004年10月「銀座食学塾」、2005年4月「銀座食学塾米作り隊」、2006年3月「銀座ミツバチプロジェクト」を立ち上げる。2008年5月より「ファーム・エイド銀座2008」、同年10月より「銀座農業塾」を開催。農業分野のクリエーターとして銀座に農業を呼び込み『銀座里山計画』を推進中。

銀座ミツバチプロジェクト 銀座食学塾 銀座農業塾
アグリクリエイト

Interview #008-2    2009年01月16日 晴れ    @東京都中央区/アグリクリエイト東京支社

銀座から考える「農」のあり方。(part2)

2.銀座で「農」を考える意味

―前回の田中さんにもお聞きしましたが、もう一度『銀座ミツバチプロジェクト』について教えて頂けますか。

『銀座ミツバチプロジェクト』とは銀座3丁目紙パルプ会館屋上でミツバチを期間限定で飼育し、その活動を通じて銀座の環境と生態系を感じながら、採れたハチミツを活用することで自然との共生を感じることを目的とした活動です。2007年に法人化しました。

メンバーには、バーの支配人や、スウィーツのパティシエ、音楽プロデューサー、心理カウンセラー、ランドスケーププランナー、弁護士、アナリストなど多様な職種が集まり、多角的な視点でプロジェクトを構成しています。 またサポーターとして松屋通り親交会、ガス灯通り会、柳通り会、あずま通り会、銀座教会、地元の老舗の若旦那などの他、趣旨に賛同しプロジェクトを支援してくださる個人・団体サポーター(蜂の里親)を募り、活動を推進しています。

先ほど触れたように、最初から意図してできたわけではなく、いろんな偶然の重なりの中で生まれたプロジェクトですが、田中さんも私もそれまでいろんな試行錯誤を繰り返してきたことがあって、ハチと出会うことで、それぞれの積み重ねが一気に花開いてブレイクした感じですね。

そうした中で、大きな転機になったのが昨年の『ファームエイド銀座2008』です。私達は都会の真ん中でミツバチを飼うことで、その中で「人と自然の共生」を学び、様々なつながりの大切さに気がつきました。それを何らかの形で表現し、同じ思いを持っている人たちとつながりたいと思ったわけです。都市で私たちが毎日何気なく食べているものには、里山や奥山のたくさんの地域が関わり、多くの人の想いが込められています。そのことを銀座から発信し、また応援したいというのがこの活動の開催趣旨です。

今回はかなり無理をして5月から11月まで毎月開催しました。それは回数を開くことで単なるイベントではなく、一つの"運動"として捉えてもらえるようにしたかったからなんです。おかげさまで皆様に評価して頂いて取材の依頼も随分増えました。「食」や「農」に関する関心の高まりを日々、肌で感じるようになりましたね。

-昨年は、『銀座農業塾』も始められたんですよね?

そうです。最近は農業への関心が随分と高まってきました。でもまだ新規就農へのハードルは高いわけです。農業への興味を持っている人は増えましたし、農業生産法人も人手は欲しいわけです。ただ農業は誰でもやれるものでもないし、農業生産法人も誰でもいいというわけではない。そこで、まず農業というものがどういうものなのか、きちんと理解をしてもらい、自身の適正を見極め、それでもやりたいという人を見出し育成したいと思っています。この塾を就農への一つの「窓口」「入門コース」と捉えてもらえる分かりやすいかもしれません。現在は座学中心ですが、将来的には実践コースも創っていく予定ですし、実践コース卒業者と農業生産法人をマッチングすることもやっていきたいですね

また全てを私たちだけでやれると思っていませんので、私たちのやったことで参考になることがあれば是非、真似をしてもらえるとうれしいです。私たちもできるだけオープンソース化をしていきたい。まだまだ大学の農学部あたりでも農業経営は教えてくれません。従来のJA出荷型農業ではなく、自らマーケティングしながら消費者とコミュニケーションできる農家が増えることが急務だと思っています。そのためにも新規就農の成功モデルを出していきたいですね。

例えば、私たちの仲間の一人、農業塾の講師でもある久松達央さんなんかは参考になると思います。彼は、一度民間(帝人)に就職したあと、茨城で新規就農しているのですが、現在は3haの畑で年間50品目の有機野菜を生産・販売(全量直販)しています。旬の野菜を少量多品種で直接販売するビジネスモデルを確立できたことで、一人農家でも生計が立つことを証明し、成功ケースと言えます。このようにやる気と工夫がある人にとっては農業はチャンスがある領域だと思いますよ。是非やる気のある人に入ってきて欲しいですね。

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