
清水義次(株式会社アフタヌーンソサエティ代表取締役)
【プロフィール】
1949年山梨県生まれ。東京大学工学部都市工学科卒業後、コンサルタント会社を経て1992年(株)アフタヌーンソサエティ設立。都市生活者の潜在意識の変化に根ざした建築のプロデュース、プロジェクトマネジメント、都市・地域再生プロデュース、家守(やもり)事業プロデュースを行っている。最近は現代版家守業の実践と啓蒙に注力し、千代田区神田地区及び新宿歌舞伎町における現代版家守業の実践に挑んでいる。主な建築プロジェクトは青山パラシオ(表参道)、ホテルソフィテル東京(池之端)、メルキュールホテル銀座、FXビル (名古屋市大津通り)など。地域再生プロジェクトは、熊本県旧泉村、福島県三島町、兵庫県洲本市など。CET顧問。東洋大学大学院公民連携専攻客員教授。
株式会社アフタヌーンソサエティ REN-BASE
CET 東洋大学経済学部大学院 公民連携専攻
Interview #014-3 2009年03月25日 曇り @東京都千代田区/REN-BASE
現代版『家守』の挑戦!~地域デザインの可能性(part3)

3.まちを歩くこと、そこから未来が見えてきます。
-清水さんのそうした考え方はどこからきているのですか?
もともと大学を卒業して入ったコンサルティング会社での経験が今の仕事の基盤ですね。この会社では社会風俗観察をベースとしたコンサルティングを多種多様な大手企業に対して実施していたんです。社会現象からちょっと先の未来を予測して企業のビジネスにつなげていくことを提案していたんですね。この風俗観察というのは早稲田大学の先生だった今和次郎さんが創られた「考現学」という学問を基礎としています。
この異色・異能の建築学者にして風俗研究家であった今和次郎という人はとても面白い人なんですね。東京美術学校図案科を卒業した後、柳田国男らとともに農村・民家の調査を行ったり、関東大震災後は「バラック装飾社」の活動をやっていた人なんです。とにかく人々の活動のさまざまな側面をただひたすら観察し、数量化し、記録していくのですが、その研究領域は服飾・風俗・生活・家政ととにかく広範囲。でもそれがとても生き生きとしていて魅力的なんですね。いま早稲田にはこの学問の継承者がいなくなっているとのことで、先般早稲田のある先生に「継承者は清水さんだけになったね」と冗談で言われてしまいました。(笑)嬉しいですがとても残念なことです。
世の中の変化って、食べ物や風俗などの"軟文化"の方から変わっていくんですね。政治や法律などの"硬文化"が変化するのはその後です。だから"軟文化"の変化をつかむと社会の変化が読める、未来が読めるということになる。大学を卒業して右も左も分からなかった私は、カメラ1台もたされて街の中へ放り出された。そしてひたすら歩いて写真を撮りながら、写真の中から漂ってくる「何か変だな」というものを捉えて中長期トレンドの中に価値付けしていくこと、これを本当に徹底的にやらされた。この経験が今でも活きているんですね。
こうした活動の中で、そのときまだマーケットになっていないものが、ある時いきなりマーケットになっていく。そんな場面を自ら見つけ出すという経験をしてきました。メディアの人たちが言っていることではなく、まちの中からまだ言葉になっていないことを見つけ出していく。その大切さと面白さを実感してきました。何より大切なこと"まちを歩く"ことです。まちをあるくことで未来が見えてくる。そのことはソーシャルデザインをやっていく上で大切にしてほしいですね。
インタビュー後記
清水さんのお話には一つ一つ説得力がある。それは現場から得た知恵から清水さんがビジョンを描いているからだ。そして実践の中でそれを実証してきているからなのだろう。未来のタネはまさに「今ここ」にあるのだ。理念と実践、事業性と公益性という、相反するものに対するバランス感覚も抜群で、まさに「片手に算盤、片手に論語」を実践されている。また記事には書けなかったがアートやデザインの重要性を理解し、まちのコンテンツづくりに活かされているセンスにも共感させられる。是非これからいろんな地域のまちづくり、ソーシャルデザインについてご一緒できればと思っています。宜しく御願いします!(早田)




