坂井直樹 (コンセプター/ウォーター・デザインスコープ代表)
【プロフィール】

1947年京都市生まれ。1966年京都市立芸術大学デザイン学科入学後、渡米。1969年ヒッピーたちとTattooT-shirt(刺青プリント Tシャツ)を売り、大当たりする。1973年帰国後に株式会社 ウォータースタジオを設立。1987年日産「Be-1」を世に送りだし、一躍時代の寵児となる。2005年au design projectからコンセプトモデル「MACHINA」と「HEXAGON」の2機種を発表。その他ジョージア"ワンセグTV"、ベビーカー、ガスレンジなど数多くのプロダクトを手がける。2006年auの社外デザインプロデューサーに就任。2007年新メディアサイト【emo-TV(エモティービー)】をOPEN。2008年4月慶應大学政策・メディア研究科教授に就任。

坂井直樹オフィシャルブログ ウォーター・デザインスコープ
emo-TV

Interview #010-2    2009年01月28日 晴れ    @東京都渋谷区/ウォーターグループ本社

コンセプターの描くミライ~"デザインのたくらみ"方(part2)

2.テーマは60年代から変わっていない。

-坂井さんの活動の原点はヒッピー文化、60年代のアメリカにあるように思うのですが、その点をどう捉えられていますか。

"時代"が人を創るって言うのはあるんですよね。それからサンフランシスコやニューヨークという"都市"が人間を創るという側面もあります。だから今の自分になったというのは60年代という時代が私達を育てたわけで、個人の固有の才能でこうなったわけではないという感覚を持っています。

スタンリー・キューブリックの『2001年宇宙の旅』が公開されたのが1968年。同じ年、機械式時計がクオーツに変わっています。いろんなテクノロジーの変化が起こり始めたのがこの時代。と同時に様々な社会課題が指摘され始めた。その流れの中で同じ1968年に「ホールアース(全地球)カタログ」が出版されています。これはスティーブジョブスがグーグルの元祖になったと公言している"地球上のどこでもサバイブしていく方法"が示されている本、当時のヒッピーの間でベストセラーになったものです。この本は社会を「消費」に向かって駆り立てるためのものではなく、地球という惑星の上でヒトとして自立して生きるための手がかりを提供しようというものです。パラダイムシフトしていくべき時代のタネのようなものが全てここで提示されていたのではないでしょうか。

1978年にマスキー法ができて排ガス規制が行われるわけですが、この頃からエコロジーに関する問題意識は叫ばれ始め、また人種問題に関する動きも顕在化し始めていました。ウーマンズレボリューション、ゲイパワー、ブラックパワー、フラワーもそう。そういうマイノリティの解放運動が拡がっていて、世界が大きく変わるなという感じがしていましたね。スティーブジョブスなんかもそのあたりの影響を受けている人の一人でしょう。不思議なパワーのあった時代です。でも僕たちが思ったほど、世界は変わらなかったですね。公民権運動があって、ドクターキングが亡くなって、確かに黒人は平等に扱おうという法律はできたけど、人種差別は実際に続いていくわけですから。

ただそれもこれから変わっていくのだと思います。60年代に市民運動として出てきた課題を、今はもっとグローバルに、国家単位や企業単位でやらないといけなくなったわけです。より問題が社会化したと言ってもいい。そのように一定の時間軸で俯瞰してみると、結局"お題"は数十年間変わっていないとういことが分かってくる。面白いですね。

-常に問題意識というか、アンテナを高く立てていらっしゃるのですか?

好奇心は常にありますね。ただ勉強的な感覚やそれを意識的に集めたりはしていません。ちょっと"情報"に関してはジャンキーなところがあって、「本」もそうだし「インターネット」もそう。常に触れている時間が長いですね。あとは何といっても「人」です。世界中にいる友人から情報を常に仕入れています。様々な専門領域を持つ友人たちが世界中に散らばっていて、しょっちゅうメールでやりとりしています。だから何が世界でおきているか分かりますね。もちろん直接会ってもいます。毎日数十人と会っているのではないでしょうか。その上、"質問魔"なんですよ。聞くこと好きなんですね。自分のしゃべっていることって自分の知識の範囲内なわけですが、質問すると自分の知らないことに出会える可能性がありますから。

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