坂井直樹 (コンセプター/ウォーター・デザインスコープ代表)
【プロフィール】

1947年京都市生まれ。1966年京都市立芸術大学デザイン学科入学後、渡米。1969年ヒッピーたちとTattooT-shirt(刺青プリント Tシャツ)を売り、大当たりする。1973年帰国後に株式会社 ウォータースタジオを設立。1987年日産「Be-1」を世に送りだし、一躍時代の寵児となる。2005年au design projectからコンセプトモデル「MACHINA」と「HEXAGON」の2機種を発表。その他ジョージア"ワンセグTV"、ベビーカー、ガスレンジなど数多くのプロダクトを手がける。2006年auの社外デザインプロデューサーに就任。2007年新メディアサイト【emo-TV(エモティービー)】をOPEN。2008年4月慶應大学政策・メディア研究科教授に就任。

坂井直樹オフィシャルブログ ウォーター・デザインスコープ
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Art&culture

Interview #010    2009年01月28日 晴れ    @東京都渋谷区/ウォーターグループ本社

コンセプターの描くミライ~"デザインのたくらみ"方

プロダクトデザインを中心に、次々と社会に対してインパクトを与えてきたコンセプター坂井直樹さん。ファッションデザインからスタートした坂井さんの活動は業界のボーダーを越え、あらゆる種類のプロダクトへと拡がりをみせている。こうした坂井さんの活動は狭義の"デザイン"の枠を超え、"デザイン"の本来持つポテンシャルの追及、デザインの再定義へつながっているようだ。最近では慶應大学での活動も加わって、そのフィールドは更に拡大中。そんな坂井さんにソーシャル×デザインの学び方について聞いてみた。

1.坂井直樹を説明できない。

-これまで社会的に様々なインパクトを与えてこられた坂井さんですが、その活動の幅はとても多岐に渡っていますね。現在は新たに大学で教壇に立たれるなど新しいチャレンジをされているわけですが、こうした活動は常に戦略的に、計画的に行われているのですか。

残念ながら、まったく狙って実施しているものではありません。というのもこれまでの活動の基本にあるのは自分自身が作りたいものをつくってきた。ただそれだけのことなんですね。それも計画的にというのではなく、わりと本能的に目の前のことをいきなりやってきた。そしてなぜかその内のいくつかのプロジェクトが時代の変節点でうまくいったり、世界を大きく変えることにつながったりしてしまったわけです。

例えば日産自動車との「Be-1」のプロジェクトにしてもそうですね。車にまったく関心がなく免許ももっていない、知識もまったくないカーデザインはもちろんプロダクトデザインの勉強もしていない人間がいきなりやってしまうわけです。それがなぜかうまくいってしまった。私が「Be-1」でやりたかったことは「風景を変えてみたい」ということでした。街の中に四角い車しか走っていない、その殺風景な風景を変えたいなと思った。ただそういう思いを実現していくことが、結果的に世界を変えていくことになるんですね。不思議ですけど。

大学で教え始めて非常に苦労しているのですが、お話したように私の活動というのはロールモデルにとてもなりにくいわけです。プロセスが飛んでいるわけですからね(笑)私自身もうまく説明できないんですよ。ありがたいことに周囲の方々が"坂井直樹"を説明して下さるので助かっていますけどね。

ただもし私の活動が社会にインパクトを与えることができた点について、どうしても説明しなければならないとしたら、私のやってたことにオリジナリティやクリエイティビティがあったからだと思うんですね。これは私の信条なんですが、「誰かがやったことをやってもしょうがないし、時間の無駄」「まだ誰もやったことがないことだからこそやる価値がある」と思っています。こうしたオリジナリティを追求する姿勢が世界を大きく変えることにつながってきたのではないでしょうか。

ついでに、よくいろんな分野のプロダクトデザインをするので不思議に思われることがあるのですが、デザインという視点からみればみんな同じことをやっているわけですね。例えばオリンパスの「O-Product」なんかそうですが、最初の着目点は従来のカメラの持つ「黒のプラスチックの外装というのは如何なものか?」という問いかけでした。とても違和感があったわけです。そこでまず素材を選ぶところからプロジェクトを始めました。その意味ではファッションデザイン的なんですね。ファッションデザイナーというのはまず素材を選ぶところから始まるわけですから。自動車や時計をデザインしても同じような視点でやっていますから、ずっとファッションデザインをやってきたともいえますね。最近は隈研吾さんなんかが建築でそういうやりかたしています。建築の方で素材から入るというのは珍しいですね。

このように、たまたま関心がいってしまったことを掘り下げていくうちに今の自分ができてしまったわけです。私自身が坂井直樹を説明できないのはそこにある。でもみなさんが説明して頂くとちょうどいいんですよ。それにそのおかげでいろんな若い人が僕を訪ねてくれるわけです。今日もそうです。そこでいろんな出会いがおきて、出来事がおきていくわけです。そうやってつながっていくことが今はとても楽しみです。

part2

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