松村拓也(IID校長/NPOカプラー理事長)
【プロフィール】

1957年東京生まれ。1981年東京大学工学部建築学科卒、(株)現代計画研究所入所。1985年辰建設(株)入社。1996年同社代表取締役就任。1999年同社倒産、株式会社辰設立。2005年流石創造集団設立に参加、IID(世田谷ものづくり学校)校長就任。株式会社スクーリングパッド取締役就任。2006年(株)なのに設立。株式会社ものづくり学校取締役就任。地域創業プロジェクト【せたがやかやっく】プロジェクトリーダー就任。2007年クリエーションスクエアしぶや企画運営コーディネータ就任。NPOカプラーを創設し、理事長就任。内閣府地域活性化伝道師。

なのに NPOカプラー 
世田谷ものづくり学校(IID) 

Region

Interview #012    2009年03月01日 晴れ    @東京都世田谷区/世田谷ものづくり学校

「ビジネスの公益性」を問う!地域ビジネスのデザイン論

2004年3月に廃校となった世田谷区立池尻中学校の校舎を利用した、都内初の民間によるコンバージョン事業として誕生したIID。多数のクリエイターがオフィスを構え、「学び・雇用・産業」 の 3 要素が融和し、きちんと事業として成立していく仕組みを実現しようとするこの場所は「地域×クリエイティブ」の拠点となっている。このIIDの校長である松村さんはこうしたプロジェクトに関わることをきっかけに、新たな地域ビジネスのインキュベート活動へと挑戦している。そんな松村さんにこれからの「地域ビジネス」の在り方について聞いてみた。

1.ビジネスは人を幸せにするためにある。

-松村さんが近年、力を入れている"起業支援"について状況を聞かせて下さい。創設されたNPOカプラーもそのための組織なんですよね。

最近の私たちの問題意識は、「ビジネスの公益性」って何だ?ということです。これまでの多くの議論は「ビジネスや事業を成功させるにはどうすればよいか」ということでした。でもこうしたビジネスの成功がゆえに顧客や社会に迷惑や損害を与えて、その負担を負わせた挙句に消えていったりしたわけです。今回の経済危機もそうですよね。金融破綻をはじめとする多くの社会問題は、事業の成功がもたらした暴走の結果です。

この原因は、ビジネスの成功ばかりに目がいき、そもそも「ビジネスが成功したらどうなるか」を論じようとしてこなかったところにあると思うんですね。そこに大きな落とし穴があった。またこれは"社会的ジレンマ"ともいえますね。個々人の最適な選択がけっして社会全体としての最適な選択とはならない。ビジネスのことだけ考えれば、うまく行かなくなったら消えればいいわけです。でも地域はそういうわけには行きません。こうしたジレンマを解消するためにはビジネスの公益性についてちゃんと議論する必要があると思っています。

そこで最近私たちが取り組んでいるのは、世田谷をフィールドにビジネスが地域デビューすることを促進するための『ビジネスリーグ』という仕組みです。あらゆるビジネスの担い手たちが「成功のイメージ」を競い合います。ビジネスが成功する前に、そもそもそのビジネスが社会に役立つかどうか、ということを問うことを目的にしているわけです。多くの人は「やってもいないのに、成功したらどうなるかなんて考えられないと」というわけですが、そもそも最初に成功の姿をイメージできない事業が成功するわけがないんです。私たちは「支援」する前に「試練」の場として『ビジネスリーグ』を活用してもらいたいと思っています。

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