
木村俊昭(農林水産省大臣官房企画官/地域活性学会理事)
【プロフィール】
1960年北海道生まれ。1984年小樽市入庁し、議会事務局、経済部商工課・産業振興課、企画政策室などを歴任。歴史的建造物を活用した全国初のライトアップ、東京から老舗(しにせ)ガラス工房を誘致して「ガラスの街・小樽」としてのブランド化などに成功。こうした街おこしの手腕を買われ、2006年より内閣官房地域活性化統合事務局(2007年10月9日に統合)の企画官として出向。地域活性化に関する政策、地域再生制度事前・事後評価、地域と大学との連携講座「地域活性化システム論」の開講、地域活性化に関する調査・研究などを担当。2009年4月より農林水産省大臣官房政策課企画官。主に土・日は全国各地で講演等を展開中。地域活性化伝道師。北陸先端科学技術大学院大学非常勤講師。地域活性学会理事。
Interview #015-2 2009年05月23日 晴れ @神奈川県横浜市/慶應義塾大学日吉キャンパス
公務員だからこそできること!地域現場から描くソーシャルデザイン(part2)

2."地域経営"の視点が大切なんです。
-木村さんが現在、全国を飛び回られていて感じられることや問題意識について教えてください。
行政職員に限らないと思いますが、何かやろうとした時、できない理由を考えてしまう癖がある方がいます。もちろんこれは誰にでもあることなのですが、できない理由を言う前に、できることを探す工夫が必要ですね。小さなことでもいいので、できることを積み上げていくことが必要だと常々痛感しています。いきなり大きなことはできないですから。もちろん大きなことを考えることは必要ですけどね(笑)。公務員でよくやってしまうのが「予算」の壁をつくってしまうこと。「予算がないからできない」とついなりがちです。でも予算なしでもできることはいくらでもある。大切なのは何が求められていて、いまの状況の中で何ができるのか?プラス思考で考える癖をつけることですね。
また一方で地域全体を見渡すことも必要です。地域に経営戦略がなく事業毎にバラバラで動いてしまうということは大きな問題。地域を回っていて、いろんな政策を場当たり的にやってしまっているケースも多々あるように感じています。大切なのはこのまちを全体でどうしていくか?そのグランドデザイン、全体戦略が必要です。まちの中にはいろいろな利害関係者がいるので、どうしても総花的な政策になってしまいがちです。例えば観光で所得を得ている人がほとんどいないにも関わらず、観光支援のために割りに合わない予算を使ってしまうようなことも見受けられます。戦略なき企業誘致や団塊世代の移住をやっている自治体も多いようです。
重要なのはそのまちで暮らしている一人ひとりが所得を得て楽しく生活できること。そのため、このまちでみんなが生活できるには何が必要か?そういう地域の経営的視点が必要です。そのためには地域の産業・雇用の戦略は重要だと思います。また教育も大事ですね。大きな企業がないまちでサラリーマンになるためだけの教育をしても不十分です。子供のころから地域に触れ、将来は自ら"業"を起こす教育なども大切なのではないでしょうか。
更にまちの中だけでものを考えない視点も大切です。ネットワークしていくこと、足りないものはお互いおぎなっていくことも大切です。私が小樽でお手伝いしたことに職人連携による全国職人学会や、薩摩切子、江戸切子、そして小樽切子の3大切子として小樽ガラスのブランド化を仕掛けたことがあります。これは小樽だけでやろうとするのではなく、他の地域とどう連携してお互い高めあえるか、そういう発想で取組んだものです。今では"ガラスのまち"、"職人のまち"が定着しています。自分たちに「あるもの」と「足りないもの」が分かれば、"どこ"と"どう"組めばいいか分かってきますね。そうした俯瞰した視点も必要なんです。




