
池田正昭(毎日アースデイ株式会社代表取締役社長)
【プロフィール】
1961年神戸市生まれ。小学生時代をブラジルで過ごす。1985年東京大学文学部卒業後、同年株式会社博報堂入社。コピーライターを経て、同社が発行する雑誌『広告』の編集者に。 2001年に「future social design」をテーマに同誌をリニューアル。雑誌から社会変革が立ち上がることを試み、地域通貨アースデイマネーなどを誕生させる。同誌編集長解任後、 2003年夏に環境ムーブメント「打ち水大作戦」を創始。2006年3月同社退社後、みなと環境にやさしい事業者会議(2006)、more trees(2007)、港区立エコプラザ(2008)、トーキョーチェンジメーカーズ(2008)などを立ち上げる。
港区エコプラザ
トーキョーチェンジメーカーズ
今こそ、フューチャーソーシャルデザイン(future social design)の時代!

地域通貨「r」、アースデーマネー、打ち水大作戦など様々なムーブメントを起こしてきた
ソーシャルデザイナー池田正昭さん。最近では港区エコプラザを拠点にmore tree 東京チェンジメーカーズなど更に活動のフィールドは広がっている。こうした池田さんの原点にある志向、それは「デザイン」。博報堂時代に自ら提言されてきた時代を先取りしてきた「フューチャーソーシャルデザイン」の志向をいま再び、世の中に提言しようとする池田さんに、ソーシャルデザインの本質について聞いてみた。
1.地域通貨との出会がすべての始まり。
-先日のソーシャルデザインフォーラムでもプレゼンされていましたが、「フューチャーソーシャルデザイン(future social design)」の志向がまさに池田さんの幅広い活動に共通するテーマのようですね。もともと広告代理店で活動されていた池田さんが、こうした活動に関わるようになったきっかけは何だったのですか?
博報堂に入社して10年程コピーライターをやった後に、雑誌『広告』の編集に移るのですが、その時に「地域通貨」と出会ったことが大きかったですね。1999年あたりです。『批評空間』という雑誌があるのですが、99年夏頃に掲載された北海道大学の西部忠さんの論文に衝撃を受けたのです。マイケル・リントンが作った地域通貨である「LETS」についても詳しく書かれていて、それを読んでわくわくしました。自分たちでお金が作れるということ、それにLETSという通過の前提となっている発想に刺激を受けました。早速、地域通貨について取材をして雑誌に記事を掲載しました。
-『広告』で「地域通貨」ですか?
確かに広告代理店が「地域通貨」を扱うことについて不思議に思われるかもしれませんね。私たちは地域通貨を一つの根源的なメディアだと捉えていたのです。メディアとは「媒介」であり、それを通してヒトとヒトがつながるものですよね。そうだとすると一番ヒトに身近なメディアが地域通貨だといえると考えていたのです。
当時こうした地域通貨の動きにはいろんな人が影響を受けたと思います。なかでも一番影響を受けた一人が『批評空間』主催者の柄谷行人さん、それに坂本龍一さんです。柄谷さんのグループでは「Q」という地域通貨の立ち上げの動きが出てきた。坂本さんの方は、99年からしばらくはものすごく地域通貨にはまっていましたね。おそらくその頃日本中で地域通貨についてそこまで知っているのは坂本さんしかいないというくらい盛り上がっていました。
柄谷さんや坂本さんの動きと同期しながら、私の方は雑誌を通じて世の中に「地域通貨」をけしかけたわけです。"世の中を変えよう"と呼びかけをしたつもりです。たしかに手ごたえはありました。この号は完売しましたし、雑誌を作る側としては一応、成功したわけです。でも何か納得いかないところがあった。読者から、地域通貨をはじめましたというお便りがこないわけですよ。一年待っても、ソーシャルイノベーションにつながる活動が生まれてこない。
誰もやってくれないんだったら、自分が一番「地域通貨」にいれあげているわけだし、実現するためのノウハウもネットワークもあるわけなので、自分でやってみようとなったわけです。もちろん本業である雑誌から逃げられない。だったらその雑誌の中の取り組みとしてやればいいじゃん。そう思って雑誌をベースに取り組むことになったのです。




