
東富彦(日本電気株式会社(NEC)CSR推進本部社会貢献室長)
【プロフィール】
1961年東京生まれ。電気通信大学卒業後、NEC入社。企業向けソフトウェアの研究開発に従事。2001年青山学院大学大学院にて国際経営学修士取得。06年社会貢献室へ社内人材公募により異動、08年4月より現職。NEC社会貢献活動の戦略立案などに従事。07年7月よりビックイシュー販売者のデジタルデバイド解消支援プログラム『NEC IT CONNECTION』を開始。2009年からは『NEC次世代社会イノベーター・プログラム』により社会起業家支援を強化。
Interview #016-3 2009年06月08日 雨 @東京都港区/NEC本社ビル
企業とNPO連携から見えてくる"社会起業家"の可能性!(part3)

3.これから企業人のの働き方/社会貢献の未来
-これまで様々な社会起業家やソーシャルデザイナーの方々とお付き合いされてきたと思いますが、彼らの優れている点や共通の資質などがあれば教えてもらえますか?
まずは当たり前ですが"志"です。多くの場合それは自身の「体験」をベースとしたものなのですが、これがないと説得力がないですね。次に優れた"コミュニケーション能力"があることです。彼らは人を引き込むのがうまいですね。人柄なのかもしれませんが、彼らと接していると「周囲が手助けしてあげたくなる」状況になってしまう(笑)。こうした資質はおそらく現在、活躍している社会起業家の皆さんに共通して言えることではないでしょうか。
-もともと東さんはどういったビジネスキャリアを歩んで来られたのですか?またそこから今の社会貢献活動をどのように捉えられているのでしょうか?
私は NEC に入社してからずっとソフトウェア開発のエンジニアリングをやっていたのですが、約3年ほど前に、自分自身の判断で大きくキャリアチェンジをしました。その背景には私自身のビジネス現場でのたくさん挫折経験があります。実はいまの仕事をするにあたって、そうした経験がとても役にたっているように思いますね。また自分の世界が広がったという意味で現在の仕事にはとても感謝していますし、また楽しんでいます。
このキャリアチェンジにあたっては私の海外での経験が大きく影響しているかもしれません。今から十数年前に IT ベンチャーが流行った頃、ボストンを修行で訪れたことがあります。その当時の IT ベンチャーの熱気というのはすごくて、ひとつの部屋にベッドマットだけ3つ並べて、そこで若者が寝起きをして仕事もしていました。彼らはよく、自分で起業し、一生懸命働いてお金持ちになったらマンション買おう、といったお金ベースの夢を熱く語っていました。それがとても刺激的で、私もベンチャーを起したいなあ、と思いながら帰国したのです。
結局は起業に至りませんでしたが、社内で新しい製品やサービスをつくりあげるプロジェクトにずっと携わってきました。そして事業を起こすことの厳しさを常に痛感してきたわけです。新しいプロジェクトの資金を得るには企画を通さなければいけない。100 枚くらいの企画書を作って、それが通ればやっと投資をしてもらえる、という具合ですね。投資をすると回収するのにだいたい一年くらい掛かります。そうするとお金を出すほうも厳しく見ますから、生半可な計画ではぜんぜんダメで、何回企画書を出しても通らないということもざらにありました。もちろん通ったとしてもうまくいかないことがほとんどです。私自身実際に2 億円くらいの事業を採算がとれずにつぶしたこともありましたね。
いま多くの社会起業家の方々と接する時に、こうした経験がとても活きているように思います。ビジネスの現場と社会貢献の現場と両方を知っているからこそできる活動をこれからもやっていきたいですね。




