田中淳夫 (NPO銀座ミツバチプロジェクト世話人/副理事長)
【プロフィール】

1957年東京生まれ。日本大学法学部卒業後、多目的ホールなどを管理する株式会社紙パルプ会館へ入社。現在、取締役を務めるかたわら、「銀座の街研究会」の代表世話人として銀座の街の歴史や文化の研究にも取り組む。2006年より養蜂家の藤原誠太さんとの出会いがきっかけで、紙パルプ会館の屋上で養蜂をスタート。2007年『銀座・ひとと花とミツバチと』を出版。同年6月「あしたのまち・くらしづくり会議」の奨励賞受賞。伝統ある銀座をミツバチで新たに活気づけたいと様々な取り組みに奔走中。

銀座ミツバチプロジェクト 紙パルプ会館 

Interview #007-2    2008年12月29日 晴れ    @東京都中央区/紙パルプ会館(銀座)

銀ぱちに学ぶ、ストーリーづくりから始まる"街"の価値創出 (part2)

2.情報発信から価値を生み出す

-銀座とミツバチ、対極にあるといえる異質なものをつなげることで田中さんは新しい価値を創出されたわけですね。そもそもいつ頃からそういう街の価値づくりのようなことを始められたのですか。銀座との関係なども踏まえてお話を聞かせて下さい。

私と銀座との関係は、大学を出てすぐ、20人足らずのこの会社に入ったところから始まります。ところが入ってみたものの、若手は自分ひとり。同期で大手企業に入った仲間はバリバリ仕事をしているのをみて、正直あせりました。そんな中、取り組みはじめたのが私たちの会社が管理・運営する会議室を多くの人たちに使ってもらうということです。いろんなカタチで"場"を提供するということを考えました。

特にバブル崩壊後、ビルの立替時期と重なり、会社は大きな経営危機を迎えます。そんな中、どのみち会議室(運営)はやらなければならないわけだし、だったらいろんな人たちに使ってもらうことで建物の価値を創っていこうという発想になっていったのです。

そこから自分たちが面白いと思う人たちを呼び込んでいきました。政策新時代と呼ばれた頃、政策の勉強会などもここで始めました。銀座に面白い人たちを呼びこみ、ここでディスカッションする。もちろんその後、彼ら彼女らは銀座の街で飲んだり食べたりして帰ってくれるわけです。そういうことをやっていくうちに銀座の中に、新たにコミュニティが生まれ、そこから新しい動きが芽生えていくのを感じたわけです。

コンテンツを呼び込み、そこにコミュニティが生まれることで、新しい価値ができてくる。そしてそれは数を重ねているうちにどんどんスパイラルに回っていく。情報を発信しながら街が豊かになっていく姿が見えてきたんですね。確かに会議室ビジネス自体としては儲かるものではありませんが、街のインフラとしてこうしたスペースや空間が重要だとわかってきたのです。

一方、銀座の外に目を転じてみると、丸ビルにしても六本木ヒルズにしてもコンテンツを呼び込み、コミュニティを創ることで人を呼び込む仕組みを創り、そこから地域の価値を創造するという地域づくりを始めていることが分かってきた。もちろん規模こそ違いますが、そうやって他地域の動きを分析しながら、自分たちがやってきたことは間違いでなかったということも分かってきました。

またこうしてコミュニティができてくると、参加して下さる人々の中から急に面白い人が飛び出したりもします。この前まで普通だった人たちが、銀座という"場"、コミュニティを得ることで一気に有名になっていく。一人の意思がコミュニティを得ることで変化し、ブレイクスルーしていく姿をみて面白いと思いましたし、それを応援したいと思っています。

―田中さんの回りから次世代を担う新しいリーダーたちが誕生しているようですね。そんな中で田中さんの役割はどんなものになるのでしょうか。

幕末の頃、明治維新にかけての長州藩・下関の白石家(廻船問屋小倉屋の白石正一郎)。彼らのような姿を一つイメージしています。あの当時、下級武士の出身者、脱藩した志士たちが活躍できた裏には、彼らの支援があったからこそ。高杉にしても、白石家の支援がなければ奇兵隊も成立していません。長州に限らず薩摩・土佐をはじめ他藩の志士たちも白石家はバックアップしています。漠然とですがこうした姿を自分たちの活動に重ねてみたりします。思いがあって、その思いに向かって走り出している人、いま波に乗っている人を応援したいですね。寝ている人を起こすのは大変ですが、既に走っている人に対してはその人の走る道をちょっと舗装してやれば、突き抜ける可能性をもっているのですから。

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