
岡部友彦(コトラボ合同会社代表)
【プロフィール】
1977年6月 神奈川県生まれ。東京大学大学院建築学修了。2004年から横浜寿町を拠点に"YOKOHAMA KOTOBUKI STYLE"を展開、地域再生プロジェクトに取り組む。"モノ"づくりではなく、"コト"づくりからまちづくりをコンセプトに、再可視化と再価値化に挑戦中。
簡易宿泊所を改装したYOKOHAMA HOSTEL VILLAGEや、街の現状とそこで行われているプロジェクトを分かりやすく紹介したプロモーションムービー "KOTOBUKI_Promotion"の制作、通常の選挙キャンペーンにインスタレーション色を持たせた"KOTOBUKI選挙へ行こうキャンペーン"などをプロデュースする。第57回横浜文化賞文化・芸術奨励賞。
Interview #001-2 2008年12月13日 晴れ @神奈川県横浜市/寿
再可視化×再価値化によるソーシャルデザイン (part2)

2.都市とクリエイティブの可能性
―このHostel Villageだけでなく、様々なプロジェクトが寿を中心に始まっているわけですが、岡部さんがこうした活動に取り組むようになった動機について教えて下さい。
はい。もともとこうした活動を始める前に、私は大学院で建築・都市論を専攻していました。研究テーマとして、建築といっても物質的な「モノ」のデザインだけではなく、都市をひとつの生命体と捉えて、都市での様々な活動を可視化させるといったことを取り上げていたわけですが、その視点からまずこの地域に興味を持ちました。
というのも、約250m四方とスケール感も面白いし、何より特異性がある地区ですからね。街に通うようになってどんどんと新しい事実が見えてくる度に様々な可能性が見えてきました。例えば、人口の95%が単身の男性だとか、宿が3畳の部屋ばかりで構成されていて、さらに宿の空室が2000室もあるとかね。狭いエリアですが、こうした事実を可視化していくと同時に可能性が見えてくるようになったわけです。
-そうやって可視化の手法に、デザインやアートなどの手法を用いているところが岡部さんのプロジェクトの大きな特徴の一つですね。本日のkotobuki partyにも、本来まちづくりや福祉などと直接関係のないデザインやアート関係の方々も集まっていらっしゃるようです。個人的にはこれから社会問題を扱う時、こうした人たちとのコラボレーションは大事な要素の一つになるのではないかと思っています。行政サイドもこうしたことには積極的なようですが、都市とクリエイティブの関係についてお話を聞かせてもらえませんか?
横浜市では「クリエイティブシティ・ヨコハマ」を推進して、都市の新しい価値づくり、魅力づくりに力を入れていますね。その意味でアーティストやクリエイターをすごく擁護しているように思っています。イベントなどを通じていろんな分野の人たちとの接点をつくりやすくなっているのはよいことだと思いますね。活動もしやすくなりますし。
ただ、これは横浜に限ったことではありませんが、アートで地域活性化を図ろうとするところの問題点として、アーティストの活動が街の活動とつながっていかないことがあると思っています。アーティストの活動がイベント的なもので終わってしまうはもったいないですし、次につながっていかない。大切なのはアーティストが街に出るような仕組みを作っていくことではないでしょうか。
言い換えると、クリエイティブシティというのはクリエイティブな人を集めるのではなく、いろんな人たちをクリエイティブなことをするように仕向けることや、クリエイティブなコトが起こる"場"を提供していくことだと思っています。
-それは、これまでの社会システムそのものをReデザインしていくということですよね。そういう意味でも、クリエイティブを活用しての社会システムの変革はまさに岡部さんが現在取り組まれていることですし、岡部さんの発想の基本にソーシャルデザインの視点があるように思っています。反面現実とそうした発想のギャップもあるようですが、例としてどんなケースがあるでしょうか。
例えば 私は「まち普請」という活動を委員として支援しているのですが、若い人たちがこうした場に参加できていないという現実があります。行政の募集に対して応募する人には定年した人が多くて、若い人が少ない。でも活動には若い人たちの力も必要なんですね。こうした状況になるのはこれまでのやり方では必要性が若い人たちには届いていかないから。彼ら彼女らに向けて提案していくように仕向けいくことが重要なんです。こうした課題を一つ一つ解決するためにクリエイティブを活用していきたいと思っています。




