藤倉潤一郎(プラットフォームサービス株式会社代表取締役)
【プロフィール】

1968年生まれ。早稲田大学に在学中、NTTキャプテン・システムの普及プロジェクトなどに関わり、1990年、株式会社ネクステージを設立し代表取締役に就任。以来、ユーザー参加型のメディア・システムの開発・運営・事業化を主な仕事とし、全国デジタル・オープン・ネットワーク事業協同組合代表理事、財団法人日本SOHO協会理事などを経て、2004年2月、プラットフォームサービス株式会社を設立し代表取締役に就任、『ちよだプラットフォームスクウェア』を開設し現在に至る。官民協働による公共施設運営のひとつのモデルとして地域の再生とまちづくりを実践中。2007年4月、内閣府より地域活性化伝道師を拝命、鶴ヶ島市協働政策幹に就任。

ちよだプラットフォームスクウェア

Business|Region

Interview #005    2008年12月23日 晴れ    @東京都千代田区/ちよだプラットフォームスクエア

新しい公共空間、ソーシャルプラットフォームのデザイン

藤倉さんは協働による公共施設運用の成功事例のひとつとして有名な、ちよだプラットフォームスクウェアのプロデューサー。ご自身のIT系企業のプラットフォームビジネスでの経験を活かし、公共サービスに応用したインキュベーション施設を運営されている方だ。現在、鶴ヶ島市協働政策幹として行政の立場で地元鶴ヶ島市の公共政策にも参加されていて、民間と行政の両方の言語体系を理解した上でできている稀有な存在だ。自ら発起人となり社会経営などの研究会を主催し、これからの新しい公共空間のあり方を考えているソーシャルデザイナーでもある。そんな藤倉さんにこれからのソーシャルプラットフォームあり方について聞いてみた。

1.地域文脈と官民連携まちづくりのソリューションモデル

-藤倉さんがプロデュースを担当されている『ちよだプラットフォームスクウェア』について簡単に教えてください。

はい。『ちよだプラットフォームスクウェア』は、もともと区の保有建物でかつ経営状況の厳しかった中小企業センターを、民間企業である私たちが区から10年間の定借契約で借り受けて、そこにまちづくりの拠点としてのインキュベーション施設を設置し運営しているものです。

入居者は、プランニングやマーケティング、コンサルティングなど、ナレッジワークを行う独立自営のフリーランサーや、スタートアップ段階のベンチャービジネス、 コミュニティビジネスの起業家の方々になります。こうした方々とコラボレーションを 図りながら様々なプロジェクトを生みだしていけるような地域づくりの中核拠点として運用していくことを目指しています。

―どうしてナレッジワーカーの方々を中心に集められたのですか。

そのことを説明するには、そもそものこの街の歴史について触れる必要があります。私たちがプロジェクトをやっていますエリアは元々、江戸時代の頃に職人街区として開発されてきた歴史があり、職人さんたちが長屋で職住一致の暮らしをしていた場所です。それがどんどん中小ビル化していったのがこの街の元々の成り立ちですなんですね。

それが2003年問題といわれる汐留や六本木に代表されるような大規模な再開発が周辺で多く行われたため、この地域でビルの空洞化と経済の地盤沈下が起こってしまった。私たちのプロジェクトが起こった背景にはこうした問題があったのです。また一方で千代田区が抱えていた問題もありました。それは夜間人口の減少です。千代田区というのは、霞ヶ関、大手町、秋葉原などがあり、昼間は80万人を越える人の集まる場所なのですが、夜間人口は極端に少ない。17年の統計では4万2千人程度です。

そうした課題を解決するために着目されたのがSOHO(ソーホー)です。これは職住一致、あるいは近接のワークスタイルで働くような方々のことです。こうした人たちの方々を神田地域に呼び込んでくれば、それは地域に住んでもらえるだろうし、新しい仕事も持ち込んで来てくれるだろう。また地域コミュニティの担い手にもなってくれるだろうと考えたわけです。そのSOHOのスタイルで働いていたのがまさにナレッジワーカーの人たちだったわけですね。

そしてこのSOHOの人達を呼び込むための手法として案出されたコンセプトが「家守」です。家守というのは、江戸時代に地主さんに替わって土地とか長屋の管理を差配した、そういった人達です。これを現代版にアレンジして、インキュベーション・マネージャーとして活動してもらいました。こうしたことによって、私たちが描いたビジョンが実現できたのだと思います。

―地域文脈を活かしながら地域課題を解決する方法を模索されたことで、現在の成功につなげられたわけですね。

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